同僚が辞めていくことが多い
介護経営において最も避けたいことって何だと思いますか?
介護ソフトや介護システムで効率化を図ることも大事ですし、要介護度が高い人に利用してもらうことも大切です。
しかしそれよりも重要なのが、人材の流出を防ぐことです。
介護は昔から離職率が高い仕事です。
近年ようやく落ち着きを見せてきましたが、それでも他と比べて低いとはとても言えないでしょう。
そもそも介護は人がいなければ始まりません。
利用者さんやその家族を支えるのも大切ですが、身内の職員を大事に出来ないのなら介護経営は向いていないと私は思います。
1人が辞めだすと止まらない
私が管理者になる前、職場の環境は悪く、次から次へと職員が辞めていく時期がありました。
当時、一緒に働いていた人も数人辞めてしまい、その頃は経営どころから存続すら無理かと思いました。
この時、介護というサービスを供給するには、働く人がいなければ始まらないと改めて感じたのです。
それからしばらくして当時の管理者が辞めることになり、一番長く今の施設で働いている私が管理者としてやっていくことになったのです。
あまり自信はありませんでしたが、職場環境には強い不満があったので、とりあえず自分が思いつく改善策を1つずつ行っていくことにしました。
その結果、今では職員のほとんどが2年以上働いており、3年以上働いている人もちらほらといます。
人材流出を防ぐ方法
施設方針を定めて職場環境を改善
介護に限った話ではありませんが、経営のみにたずさわっている人は、「辞める理由=お金」と決めつけている人が多くいます。
もちろん、高いとは言えない介護職の給料を考えれば、確かにお金で辞めていく人もたくさんいます。
しかし、介護業界で働く人が離職する理由としては、理念や運用方法などを含めた職場環境を挙げる方が多いと思います。
特に経営側が金儲けしか考えていないような事業所や施設では、介護サービスの質や職員の働きやすさなどをないがしろにします。
介護は非常にやりがいのある仕事ですが、施設自体がお金儲け主義だと働きがいを感じることはなかなか出来ません。
どれだけ気持ち良く介助しようと質にこだわっていても、施設長や管理者などがお金のことだけを考えているようなところでは、向上心や誇りは行き場を失います。
そこでまず私が改善したのが、未来を感じられるイメージやビジョンを相互に共有することです。
施設に対してどのように改善して欲しいのか、個人としてどのようになりたいのかなどをきちんと話し合いました。
そしてその上で、全員が共有しやすい施設としての方針を設定していきました。
こうすることで自覚を持ってもらい、方針を定めることで職場の雰囲気を持ち直せたのです。
待遇を改善する
人間気力があれば、無理をしても少しぐらいは耐えられるものです。
しかし、それが長期的となると精神的にも身体的にも限界がきます。
もちろんこの精神・身体の疲労も、離職する理由としてよく挙げられます。
対策としては最初に、なぜそのような負担がかかっているのかを大局的に判断する必要があります。
例えば、休憩が満足に取れていない人や、急いで移動するせいで余分に疲れている人は、大きく考えればそもそも人が不足していることを示します。
根本的に改善するには、まず原因をきちんと把握する必要があります。
精神・身体の疲労が改善されると、職員の顔は驚くほど明るくなっていきます。
もちろん給与も
介護職は給与が安いとよく言われますが、実際は事業所や施設によって額は大きく変わります。
なぜなら、手当はその事業所や施設によって大きく変わるからです。
そのため残業手当はもちろん、遅出や早出などの手当が付いている職場もあります。
優秀な人材に残ってもらうためには、経営にゆとりをもたせて出来るだけ見合った給与を出してあげられるようになるのが理想的です。
質の高い介護サービスを提供するために
質の高い介護サービスを届けるには、
職場環境や雰囲気、待遇や給与などを高いレベルで安定させる必要があります。
職場環境や雰囲気は、きちんと話し合いすることが大事になります。そして待遇や給与は、上手にやりくりをして経営を逼迫させないことが大事になります。
そのために介護システムや介護ソフトを使ってみるのもおすすめですし、無駄遣いの削減を徹底するなども介護業界では有効でしょう。
こうして改善し、優秀な人材が集まるようになれば、新しい人材を育成する基盤も出来上がってきます。
質の高いサービスを提供するのは、現場の職員です。
だからこそ現場が気持ち良く働けるようにアプローチするのが、管理者や経営者の仕事ではないでしょうか。
介護業界の離職率が二極化しているのは、管理者や経営者の意識や対応に違いが大きいからだと考えています。